皆さんは、日本で働くクリエイターたちの環境が、世界と比べて大きな差があることをご存知でしょうか?
一番分かりやすい問題は低賃金。
10年ほど前、私がデザイナーとして働いていた頃、たまたま先輩デザイナーや周囲の友人の年収を聞く機会がありました。中には誰もが知っている有名な作品を手がけている人もいましたが、その平均はなんと300万円くらい。その時、私は「こんなに素晴らしいものを作れる人なのに、これだけしかもらえないのはおかしい!」と思いました。そして、世界のデザイナーの年収を調べてみると、欧米で働くクリエイターたちの平均年収は800万円から1000万円。約3倍です。これは決して著名なデザイナーのことを指しているのではありません。一般的に「デザイナー」と呼ばれる仕事に就いている方達の話です。もちろん、日本のすべてのデザイナーに当てはまる話ではありませんが、当時の私は、この事実に驚きを隠せませんでした。
原因は、価格の叩き合いが起きやすい、制作環境の構造にあります。
デザイン制作の主要ツールがデジタルに変わり、誰でも気軽にクリエイティブの仕事が始められるようになりました。デザイナーの人口が増えていく、そんな良い傾向がある一方、そのハードルの低さが低価格競争に直結していることが問題なのです。
デザイナーと名乗るのは簡単でも、クリエイティブの世界で生計を立てられるまでのスキルを得ることは並大抵ではありません。仕事でよいデザインを生み出せる人は、みな必死で努力し、学んだからこそできることなのです。
そうしたクリエイター達の努力が、半ば強制的に「低価格競争」という波に飲み込まれてしまう。そうした今の日本の環境に、強い課題感がありました。
こうした現状を変えたい。
ゼロからモノを生み出せることのできる人を応援・支援する立場になることで、より多くの優れたクリエイティブを世の中に増やしていこうと決心し、志を共にする仲間たちと一緒に、この会社を立ち上げました。
-
私たちが目指しているのは、「クリエイターが活躍できる環境と仕組み」を作ること。
ゼロからモノを生み出す人たちが、自分のスキルやライフスタイルにあった働き方で、最高のパフォーマンスを発揮しながら人生を歩む社会の実現を通し、素晴らしいクリエイティブで世界中を満たしていきたいのです。
このような社会を実現するには、どこに課題があり、どう克服すべきか。
こうした問いかけが原点となり、創業以来、私たちが取り組んでいる3つの事業が生まれました。
◯ 制 作
クリエイティブな仕事で働きたい人に、そのチャンスを届けること。
◯ 開 発
クリエイターが、作ることに集中できる仕組みを発明すること。
◯ 教 育
クリエイティブを学ぶ人に、制作に必要な技術やマインドを伝えること。
それぞれがまだ発展途中ですが、ゼロからモノを生み出す人たちが心から笑える社会を実現するまで、私たちはひとつになって、日々、努力を重ねていきます。 -